みなさん、こんにちは。
この記事を読まれているあなたはこんな悩みをお持ちじゃないですか?

後輩が中古マンションを購入しようとしてるみたいでさ。こんな質問されたんだけど、上手く答えられなかったよ…

マンションって戸建てよりも冬は暖かいイメージがあるけど、断熱リフォームって必要なのかな?

マンションの断熱リフォームって費用はどのくらいだろう。コンクリートなら気密性も高いし、冷暖房でどうにかなるならリフォームしなくてもいいかな。

ちょっと待って!マンションのリフォームを考えているなら、断熱は必須よ!

そんなに断熱って大事なの?
この記事を読むことで、次のことがわかります。
断熱リフォームの大切さがわかります。
断熱リフォームの費用と、利用できる補助金がわかります。
そんな私は、

皆さん、こんにちは。
福子です。
福子38歳です。年下の旦那と12年前に結婚して、3人のママになりました。毎日家事が大変ですが、一級建築士事務所での経験を生かして、住まいのリフォームに関する便利な情報をお届けします。
リフォームと聞くとまず、水回りやキッチン、間取り変更などが思い浮かぶと思います。
でも、これらの表面上のリフォームだけでなく、もっと住居としては基本となる部分もしっかり見ておかないと後悔しますよ!

そういえば、前に友達がリノベーション済み物件を購入したんだけど、住んでみて数年で壁がカビっぽくなってきたって嘆いてたな。

それきっと、断熱性が低いコンクリート壁のせいよ。

そうなの?

綺麗になった壁紙に騙されてはいけないわ。
マンションの壁に断熱リフォームが必須な3つの理由
コンクリート壁は”暖まりにくく,冷めにくい”厄介もの

そもそも、コンクリートでできたマンションって厚い壁があるから、そんなに外気の影響はないんじゃないの?

パパ、夏の暑い日にコンクリートの上に座ったことないの?

暑い日には公園のコンクリートのベンチは熱すぎるから座れないなぁ。
コンクリートは真夏の直射日光を浴びると、その温度は50℃以上にもなると言われています。しかも、一旦熱くなると冷めるのに時間がかかります。
そんなアツアツな壁に接した部屋はどうでしょう。
いくら冷房をつけても壁からどんどん熱気が送られ続けるので、なかなか部屋が涼しくなりません。
一方、寒い冬は一旦冷たくなってしまったコンクリートはなかなか暖まらないので、暖房を付けてもなかなか部屋が暖かくならないのです。

僕ならきっと布団からなかなか出てこれないね・・・

それに、光熱費がバカにならないわ!
大変なのは光熱費だけではない!壁の中に潜むカビ

でも、コンクリートって木造よりも気密性が高いから、いったん適温になれば省エネでいいんじゃないの?
実は、その”気密性”が今度は湿気を部屋にこもりやすくしてしまうんです。冒頭で話題にあがった、リノベーション済みマンションの結露問題の原因がこれ。
例えば冬に冷えたコンクリート壁に、室内の暖かい空気が触れると結露になります。

冷たい飲み物が入ったコップの周りにつく水滴と同じね。
結露しても換気が十分であればいいのですが、コンクリートの壁であるが故に気密性が高く、いつまでも湿り気を帯びた壁がカビの温床となってしまいます。
綺麗な壁紙に覆われている分、油断しがちです。

壁に潜んだカビを含んだ空気を長時間吸って生活すると思うと、ゾッとするわね。
しかも、壁が湿気にやられるので劣化も早くなります。
マンションは住んだ後に外壁断熱リフォームができない

壁の断熱って大切なんだね!これから中古マンションの購入を考えている後輩に教えてあげよう。

そうね。でも、リノベーション済みマンションに既に住んでいるお友達は、ちょっと大変ね。
フルリフォームについて紹介した時にも出てきましたが、マンションのリフォームをする場合には必ず管理規約を確認する必要があります。
フルリフォームについて詳細はこちら
安くて自由なフルリフォーム!特徴と注意ポイントを一挙公開
一般的には、共用部分となる外壁は個人的にリフォームをすることができません。

つまり、マンションは壁の内側から断熱材を入れるしかないってことね。
壁の外側から断熱リフォームするのであれば、住みながら断熱のみのリフォームを行うことができます。
でも、壁の内側に断熱材を入れるとなると大変です。家具などを移動させて壁紙を剥がして大掛かりな工事になるので、リフォーム中は仮住まいを用意するのが現実的です。
費用面からも、断熱のみのリフォームを行うよりも、他のリフォームと併せて施工した方がコストパフォーマンスが良くなります。

スケルトンリフォームが理想的ね。
スケルトンリフォームも気になってきましたか?詳細はこちらもチェック!
調べてみた!マンションのスケルトンリフォームを価格表で徹底調査!
マンションの築年数と断熱性能の関係
築30年以上のマンションは断熱材無しがほとんど

僕らが産まれた頃の住宅って、断熱対策していなかったんだね。

30数年の月日は、いろいろなものを便利に快適にしてきたのね。

あれ?ママが産まれてからはほぼ40・・・

パパ!年齢の話はいいの!
・・・とにかく、築年数が古いマンションを購入するのであれば、断熱リフォームは必須と考えて購入しましょうね。
築15年のマンションでも壁断熱が必要になることも

15年前だと、僕がママにプロポーズをしようと決心した頃かな~

フフッ。もうそんなに経つのね。

15年っていうと、最近のような気がするんだけどなぁ。
この頃は、少しだけ断熱の重要性も認識され始めた頃で、壁の内側に板状の断熱材が用いられています。
しかし、この頃の断熱材は隙間ができやすく、その隙間から熱が漏れるため断熱効果は低いです。
できれば断熱材を全部剥がして、一からやり直すことをおすすめします。
築浅マンションでも念のため断熱対策の確認を

最近のマンションなら、断熱性もバッチリなんじゃない?

そうね。でも、何事も鵜呑みにせず、一度は疑ってみることも大切よ。

・・・そ、そうだね。
ここ5~10年の間に断熱性能を含む省エネ施工については注目され、性能は飛躍的に向上しています。
でも、断熱材を使用しているから安心というわけではなく、C値(住宅における相当隙間面積)という指標を目安の一つとして比較してみるとわかりやすいですよ。
国の定めた次世代省エネルギー基準のC値
- 寒い地域で2cm²/m²以下
- その他の地域では5cm²/m²

なんだか難しいから、専門家に確認するといいわ!
マンションの壁を断熱リフォームする2つの方法と費用
さて、ここからやっと本題です。

マンションの壁の断熱リフォームが大切なことはわかったけれど、いったい費用はどのくらいかかるの?
マンションの壁は内側からの断熱リフォームが一般的だということは既にお伝えしましたが、その方法は2種類あります。
板状の断熱材を壁に貼る”乾式断熱”と、泡状の断熱材を壁に吹き付ける”湿式断熱”です。
乾式断熱は比較的安価だけど複雑な形状に弱い
費用と施工期間
- 費用:3,000~25,000円/㎡
※別途、解体費用・仕上げ費用等がかかります
- 施工期間:2~4週間
メリット
- 断熱材の種類が豊富なので、予算に合わせて選ぶことができる
- 湿式断熱と比べて簡単に施工できる
- 湿式断熱と比べて安価
デメリット
- 複雑な形状の場所には使用できない
- 断熱板のつなぎ目や、複雑な形状の場所に隙間ができてしまう
湿式断熱は高い断熱性効果が期待できるが高価
費用と施工期間
- 費用:10,000/㎡~
※別途、発電機使用料・解体費用・仕上げ費用等がかかります
- 施工期間:2~4週間
メリット
- 複雑な形状でも施工可能
- 隙間なく断熱材を吹き付けるので気密性が高い
デメリット
- 技術が必要なので専門業者しか扱えない
- 8階以上の施工は困難。コンプレッサを室内に持ち込むことで施工できることもあるが追加料金が発生する
- 施工時に長時間トラックを駐車する場所が必要

どちらかというと乾式断熱の方が一般的ね
断熱リフォームで申請できる補助金は2種類選べる

マンションの断熱リフォームって補助金はもらえるのかな?
断熱リフォームは、この2つの補助金のどちらかに申請することができます。
- 高性能建材による住宅断熱リフォーム支援事業(環境省)→通称”断熱リノベ“
- 次世代省エネ建材支援事業の補助金(経済産業省)→通称”次世代建材“
いずれの補助金も、マンションなどの集合住宅も対象です。

申請のタイミングが大事なので、リフォームを考え始めたら同時に、補助金申請のことも考えましょう!
最大15万円の補助がもらえる断熱リノベ補助金
下記要件を満たす場合、最大15万円(断熱材費用の1/3以内)の補助が受けられます。
・現在よりも削減率15%以上の省エネ効果が見込まれる
・SIIが公表する対象の断熱材を用いている

15%以上の省エネ効果?

このへんの計算は難しいので、専門家と相談しながら断熱材を選ぶといいわ。
最大125万円の補助がもらえる次世代建材補助金
下記条件を満たす場合、最大125万円(補助対象経費の1/2以内)の補助が受けられます。
・断熱パネルまたは潜熱蓄熱建材を用いている
・SIIが公表する対象の製品を用いている

うーん、結局どっちの制度を利用したらいいのかな…
湿式断熱を検討しているなら断熱リノベの補助金を申請

最大補助金額が125万円の次世代建材の補助金の方がお得な気がするけど?

材質にこだわらず、断熱ボードを使った乾式断熱を検討しているなら次世代建材の補助金でいいわね。
断熱リノベの方が使える断熱材の種類が多く、その中には吹き付けタイプ湿式断熱ができる断熱材も含まれています。
一方、次世代建材の方は、そもそも断熱パネル(つまり板状のものを使う乾式断熱)しか対象ではありません。

湿式断熱にしたいなら、断熱リノベの補助金ね。
頭で考えるより、まずは見積もりをしてみるとイメージしやすいですよ!
見積りに関する記事は下記を参考にしてください。
壁を内側から断熱するよりも重要な断熱ポイント
窓の断熱は壁よりも重要

よし。断熱についてはもう完璧!後輩にいいところ見せられるぞー!

パパ、詰めが甘いわよ!
壁を断熱しても、窓から熱は出入りするの。

えぇ~?!意味ないじゃん!
例えば、冬の寒い日に一生懸命暖めた部屋の空気の約50%は、窓から逃げていってしまいます。

どうせ壁の断熱で大掛かりな工事をするのなら、ついでに窓も断熱しましょう!
コンクリートマンションの理想は外断熱


もちろん!暖まりにくく、冷めにくい!でしょ?

正解!さすがパパ!
ここまで、マンションは内側から断熱するしかないとお伝えしてきました。でも、実はコンクリートの性質を上手く使って、省エネをしたいなら、外側から断熱する外断熱が理想です。
図のように、内側から断熱しても、結局コンクリートの部分はアッツアツ!断熱材で守られながら頑張って快適な室温を保ってくれています。
外側から断熱できれば、コンクリートの温度上昇を抑え、しかも適温となったコンクリートが室温を保ってくれます。
マンション全体の工事は一個人の要望ではできないので難しいかもしれません。
もし、マンションの管理者に要望を言える機会があれば、トライしてみてもいいかもしれません。

マンション大規模修繕工事に使える“長期優良住宅化リフォーム推進事業補助金”というのもありますよ。
まとめ
コンクリートマンションには断熱リフォームが必須ですね。
断熱リフォームが必要な理由
- コンクリートを外気から守ることが省エネに繋がるから
- 壁をカビから守るため
- 住み始めた後にリフォームするのは大変だから
マンション築年数の指標
- 築30年以上は断熱材必須
- 築15年はできれば一から断熱リフォームを
- 築浅マンションでも念のため確認
断熱リフォームの種類と費用
- 一般的には比較的安価な乾式断熱でOK
- こだわるのなら気密性の高い湿式断熱
断熱リフォームの補助金
- 最大125万円補助の次世代建材補助金をまず検討
- 対象製品に好みの断熱材がなければ断熱リノベ補助金を検討
壁だけのリフォームを行うのは労力的にも費用的にも現実的ではありません。

窓やその他のリフォームと同時に行うのが理想的ですよ!